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嘉麻市・山田「割烹旅館 常磐館」_ロマンの塊がそこにある。山田の生き字引的旅館。

2023.11.20

「こ、これが大正ロマンか…!」この建物に入り、最初に出た言葉がこれだった。100年以上の間、山田の歴史を見つめてきた旅館、常盤館。明治10年に雑貨店として創業したあと、2代目の源六さんが大正元年に旅館へと改築し今に至る。中の造りは大正の頃から変わっておらず、床材に現代では真似できない欅の一枚板を使っていたり、石と木が埋まった廊下など、そこかしこに当時の職人技を見ることができる。現代では職人不足から修繕が難しい箇所もあるそうだ。


ガラスも昔ながらの磨きガラスで、興味津々に眺めるお客さんも多いのだとか。


2階にある「鯉の間」の柱。当時の職人さんが名前に合わせて彫ってくれたという。



「継ぐ気はなかったんやけど、親もだんだん歳をとってきて、やっぱり潰すわけにはいかんと思ってね」と語るのは、6代目の松岡浩司さん。東京でサラリーマンを経験したのち山田へ戻り、現在は奥さん、ご両親と一緒に常盤館を切り盛りしている。ご夫婦の気さくな人柄と建物に感じる懐かしさに、つい実家にいるような心地になってしまう人も多いのではないだろうか。


旅館を切り盛りする松岡夫妻とお父さん(5代目)。浩司さんはブギウギまつりの副委員長を務めており、イベント当日も出店する予定。


現在宿泊は休業しているが、お昼、夜の会席は利用可能。昨年のブギウギまつり後に打ち上げが開催されたり、忘年会や家族の集まりなどで利用する方も多いそうだ。


11月からはフグのフルコースが味わえる(¥12,100〜)ほか、昼の会席(¥3,300〜)、夜の会席(¥4,400〜)では季節を感じられる料理が並び、美しい庭を眺めながら楽しめる。


ちなみに常盤館という名前の由来は、歴史が長すぎて松岡夫妻もお父さんも「よくわからん(笑)」らしい。ただ、常盤という言葉には「永久に変わらないもの、さま」という意味がある。そんな名前の旅館が100年以上変わらずにあり続けているという事実に、とてつもないロマンを感じた。




4月中旬〜下旬にはたくさんのツツジが顔を見せる。庭のお手入れは主にお父さんの仕事。お父さん曰く「庭は喋らんき良い」のだとか。


嘉麻市上山田1447-3
0948-52-0001(要事前予約)
※現在宿泊は休業中。食事の内容は要問合せ

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シロ

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