2023.10.18
直方市・下境「もちだんご村MALL」8年の歳月をかけて完成!もちだんご村モール誕生秘話。
by ババケンタ
飯塚市・潤野、メリーズラムなどのある敷地内で長年愛されてきた、パン工房「菜の実」。
今年1月いっぱいで閉店し、6月4日にレストランがオープン、25日にパンの販売がスタートした。
幸太さんによるイタリアンベースの料理、
パティシエの妻・有希菜さんによるお菓子、
そしてご両親の京一さん・正美さんによるパン…
1つのお店で多彩な食体験が楽しめる2代目「菜の実」がはじまる過程とお店づくりの背景を伺った。
新しい「菜の実」はレストランとパンとお菓子のお店
父はパン職人。息子はイタリアンの料理人。大まかには飲食業だけど、違う道。
お店を継ぐことは考えていなかった、と幸太さん。
「鎌倉で修行するのは4年と決めていて、その後は福岡のどこか海の近くでお店をやれたら…と漠然と思っていました。実家を継がせてもらうのはどう?と何気なく妻が言ってくれて、急に道が開けました。両親とはお店の話をしたことがなかったけれど、経営の先輩でもある。若い頃は迷惑をかけたので、近くで親孝行できれば…との思いもありつつ、最近はよくケンカしてます(笑)」
鎌倉の人気イタリアンや、自然農法で育てた野菜を活かしたイタリア料理の名店で腕を磨いた幸太さん。
飯塚へ8年ぶりに帰省して、生産者や食材の豊かさを再発見したことも地元での出店を後押しした。
↑幸太さんがつくるランチコースの前菜。
桂川町の「古野農場」や「ノガミファーム」、高校時代の恩師・佐藤先生が育てた地野菜を主役に、鎌倉や平塚の名店で腕を磨いた幸太さんの多彩なアプローチが光る。
↑パスタはその日ごとに2種類から選べる。
↑パティシエの妻・有希菜さんがつくるお菓子は、コースの最後と手土産に。
この日はクリームチーズとブルーベリーのスコーン。
有希菜さんがつくるお菓子も、近隣農家が育んだ果物や野菜が主役になるものが多い。
※有希菜さんは7月中旬から産休に入るため、お菓子販売はしばらく休止予定。
ご近所と家族の縁が導いた、他のどこにもない空間
店作りをはじめるにあたり、大きな存在となったのがご近所・花瀬のカフェレストラン「コトツキ、」だ。
「改装を誰にお願いするかを決めなきゃ…というタイミングで、父から『近所にいいお店がある』と紹介してもらったのが『コトツキ、』さん。料理も何もかも素晴らしいのですが、はじめにお店の設えに衝撃を受けました」
倉庫だった建物を「コトツキ、」の香月夫妻とともに生まれ変わらせたのが、筑紫野の木工作家の鈴木利和さんだった。
その場で連絡先をもらい、翌日に初対面。鎌倉に暮らしている頃だったため数日間しか会うチャンスがなかったが、この出会いがお店の全容を決定づけた。
設計や空間における幸太さんからの唯一の具体的なオーダーは「お客さんからも手元が見えるフラットなカウンター」。
入り口の扉を開けると、奥行きと臨場感のある光景が広がる。
「空間の凄さは、すべて鈴木さんのおかげ。例えば金物ひとつでも、1個ずつひと手間加えたり、経年変化しないものは使わないようにしたり。本当に細かいことの積み重ねで、いい空間はできていくのだなと感動しきりでした。」
鈴木さんは「父から息子へ、継ぐ」ことを設計やディティールに込め、図面を引かずに元の構造や素材を活かしながら、あたらしい空間を作り上げた。
↑筑紫野の木工作家・鈴木利和さん
店内のテーブルや椅子も全て鈴木さんによるもので、
オブジェや花器は宮若の陶芸作家・石原稔久さん、
植物・装飾は「コトツキ、」での不定期出店も行う「キャトルプラス」が手掛けた。
↑照明も鈴木さんによる見立てで、店舗インテリアで滅多に使われないものが採用されている。
↑器の中心に据えているのが、陶芸作家・野見山寛之さんの「自然窯(じねんがま)」。
飯塚の山で採取した土を混ぜ込んだ、素朴ながら品のある佇まい。
お店の作り方も、あの頃とどこか似ている
土壁や漆喰を塗る作業など、幸太さん夫妻も共に店をつくりあげた部分も多い。
父・京一さんは29年前と、姿を重ね合わせる。
「開業資金がなかったこともあって、出来ることはとにかく自分たちでやった。床の石を貼ったりね。友だちや芸工大生たちが集まってくれて内装をつくって。手伝ってくれた人たちのためにも、お店は潰されんとの想いが29年間を支えてくれたようなところもある。」
これから3年ほどは、2世代・4人で菜の実を営む。
「まだまだ甘えてばかりですが」と幸太さん。
「いずれ2人が築いてきたように、地域に愛されて、遠方からでも足を運んでもらえるお店になることが目標です。」
2人のあたたかく芯のある人柄と空間がぴたりと合って、もう何年もここでお店を営んでいるかのような安心感が満ちていた。
【菜の実/パン工房 菜の実】
住所:飯塚市潤野1311-1
電話番号:0948-28-8841
パン販売:900〜無くなり次第終了
ランチ:1100〜1500(o.s 1400)
定休日:火曜日
Instagram:https//www.instagram.com/1995.nanomi.2023
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